教えるより自分で作業した方が楽だ!
責任者(職長)は、作業者に作業方法を教えているときに、
「時間のムダだな~、自分でやった方が早いし、製品が綺麗に仕上がるんだけどな~。」
「どうせ検品して手直しするのは自分だし・・・二度手間だよ!」
「教えても、すぐに辞めだろうから意味なくないか~。」
などとボヤキながら指導や教育していませんか。
このような、半ば諦めを感じる指導・教育では、作業者が実務を行ったときに、責任者(職長)は作業者に対し、その作業に信頼や信用を置くことが出来ません。
ましてや、このような状態で受けた指示では、作業者は責任者(職長)の指示の奥に含まれる意図などを理解することは不可能です。
このような指導・教育では、安心して作業者に仕事を任せることができず、結果として、自分で作業してしまう始末に。
これこそ、
望みたくない3度手間(教える・教わる・手直し)
であり、時間のムダなのです。
【今すぐ分身がほしい】の間違った願望
指導や教育をせずとも、自分と同じ考えを持つ部下が今すぐほしい。
自分と同じスピードや精度で作業できる部下がほしい。
自分の手足となる分身がほしい。
経営者や責任者(職長)の中で、そんな願望を持ったことのある人はいませんか。
また、そのような願望(目的)を抱き、作業者を指導・教育していませんか。
ではなぜ、時折、責任者(職長)は分身を欲しがるのでしょうか。
それは、その責任者(職長)が、目先の問題回避のみを考えている結果なのです。
日常の現場作業で慌ただしい日々を遂行している責任者(職長)が陥りやすい状況です。
【作業者に任せられない】 ⇒ 【責任者自ら作業する】 ⇒ 【自分の仕事が増える】 ⇒ 【分身がほしいと望む】
これでは責任者(職長)としての責務を果たすことは出来ません。
そのような責任者(職長)は、単に、現場作業の上手な腕の良い職人に過ぎないのです。
作業効率だけを望むならば機械化
機械化が急速に発展した現代。
単に正確に効率良く生産性を向上させるだけなら、機械設備を導入(自動化)すればいい。
現場の機械や設備を全て自動化することで、責任者(職長)の意思のままに作業を進めることができます。
機械だけの現場であれば人に関わる業務災害は発生しないし、24時間フル稼働することも可能です。
しかし、責任者(職長)の計算以上の成果が生じることはありません。
反面、作業者を指導・教育するには、
- 指導する責任者(職長)にも知識やスキルが必要。
- 作業者および責任者の指導・教育の時間を割き経費が掛かる。
- 指導・教育が確実に成し得たか正確に判断できず終わりがない。
では、なぜ時間・費用やリスクを費やしてまで、作業者に指導や教育を行う目的は何でしょうか。
個性を引き出す指導や教育の必要性
作業者が責任者の意のままに行動する人物であった場合を想像してください。
- 間違った指示でも素直に行動する。
⇒部下からの指摘がないため安心できない。
- 会議は意見がでないから5分で終わる。
⇒もはや話し合いの必要性はない。
- 誰からも意見や提案はなく現場(企業)の発展はない。
⇒発展しないことは企業は衰退を意味します。
・・・まさに裸の王様状態ですね。
作業指示は、単に時間、個数や精度などの作業内容を指示するだけでなく、顧客(次工程)の要望や責任者(職長)が持つ望みや不安などを共有すること。
共有することで更に作業効率は向上し災害リスクが低減します。
人の能力には限界があります。
全てのことにNo.1である人は存在しません。
自分とは違う考え方を持った作業者の意見を聞くことに注視しましょう。
スキルや経験が不足している事由を、指導や教育で高めていくと考えれば良いのではないでしょうか。
部下の個性を磨き意見が飛び交う現場を目指す
責任者(職長)が違った指示をすると作業者から指摘される
責任者が「あっ!ゴメン間違った。」と謝る・・・指摘されると安心できますよね。
作業者と責任者、作業者同士で意見が飛び交い盛り上がる
人には得手不得手があり、得意な分野は説明し、苦手分野は聞くに徹する。
部下の個性が活かされ、専門性が増します。
部下が常に現場(企業)について意見や提案し発展する
責任者の意見が絶対ではない。
だから質問するし発言もする。
現場をみんなで考える状況が構築されれば、責任者は作業者に現場を任せることができる。
結果として、責任者(職長)が安心して現場を離れることが可能となる。
指導・教育は会社にも貴重な時間
責任者が指導・教育する際には、現場での作業方法や決まり事などを指導します。
その指導の際には、
- この作業方法で仕事をする理由。
- この決まり事がある理由。
- この仕事に見える先は何か。
なども説明してください。
何故か・・・
- 理由までは説明しなくても良いのでは?
- 解らなかったら作業者が質問するのでは?
- 将来像は責任者だけが知っていれば良いのでは?
と思っているのではないでしょうか。
- 作業方法の理由がわからなければ作業について考えることをしません。
- 作業者は理解できていない人ほど質問しません。
- 責任者が考えていることを知りたい作業者は会社に関心がある人なのです。
また、責任者(職長)が、その理由について説明できない事項は、「不要な決まり事」なのかもしれません。
作業者に指導・教育することで、作業自体の見直し、責任者の知識の精査を図ることが可能です。
指導・教育は作業指示だけを行うのではありません。
また、責任者(職長)の分身を作る場でもありません。
責任者の良き仲間を作る最高の機会なのです。
作業現場の相談役
現場実践型-業務改善コンサルタント
エスエムシーコンサルティング SMCCONSULTING