業務改善の考え 職長教育

パワハラと誤解されない指導教育

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指導・教育をパワハラ行為と訴えられた

一生懸命教えているのに、何故、部下からパワハラとして訴えられるんだ?

些細な叱咤で、パワハラと言われては指導・教育はできないよ!

そもそも、何が指導・教育で、何がパワハラなのかわからなくなってきたぞ。

 

職長は、現場の安全を考え、効率良く仕事ができるように、指導・教育しているはずが・・・

 

職長が熱くなり過ぎると、その行動に対し、作業者は敵意を表すことがあります。

このような状況で、厳しく指導を行えば、作業者はパワハラを受けたと誤解します。

 

職長が、指導・教育の成果を考えず、単に、取扱説明書や作業指示書を読むだけ。

これも、指導・教育に変わりはありませんが、それでは、馬の耳に念仏・・・

作業者に少しでも効果的な指導・教育を行いたい。

そのように思う気持ちが、現場の作業者に沿った指導・教育とはなるのです。

 

指導・教育はパワハラではない!

「俺は、教えてるんだ」

「悪い作業方法を注意することが、なぜパワハラなのか。」

「現場で直接、指導や教育をすると、熱血指導となることは仕方がない。」

殆どの職長は、このように感じているのではないでしょうか。

現場の状況や作業者の性格などを考えず、取扱説明書を一読だけで作業を指示する。

これでは、作業者の習得状況もわからず、安心して危険な現場を任せることは出来ません。

 

現場でしか判断できない事項があるから現場で指導・教育する。

作業者の理解度や得手不得手に沿って指導・教育するから直接に指導・教育をする。

現場で直接行う指導・教育は何処パワハラと誤解され易いのでしょうか。

 

指導・教育とパワハラは紙一重

作業者へある程度のやり方を任せ、ゴール(仕事の完成)に導くために行う「指導」。

しかし、職長の指導方法によっては、指導ではなく「指示」となっていることがあります。

「指示」となれば、それは業務命令・・・すなわち「命令」なのです。

この命令行為となった場合に、作業者は抵抗することができません。

そこで、その圧迫感によりパワハラではないかと感じるのです。

 

作業者が指示通りに作業しないとき、職長はどのような態度をとるでしょうか。

注意する際に、思わず、声が大きくなるなど、感情を表すことがあるのではないでしょうか。

作業者は、そのように、職長が感情を出すことに威圧感を感じることがあります。

そのため、指導のために行った行動(注意)が、時折、パワハラと捉えられる事由があります。

 

しかし、業務上の命令はパワハラに値しないのではないか・・・

確かに、命令だけでは、パワハラに値しません。

その行為が業務の範疇を超えていなければ。

その範疇を明確にすることが必要なのです。

 

パワハラ相談が過去最高の推移

近年、都道府県労働局への相談のうち「いじめ・嫌がらせ」が約6万件でトップです。

相談件数の約20%以上を占めます。

*参照:平成28年度個別労働紛争解決制度施行状況

 

前年対比(27年度対比)でも6.5%増。

平成19年度(10年前)との対比では、250.2%増となっています。

さらに、職場内でパワーハラスメントを受けたことがあると回答した人は、

全労働者の32.5%となります。

*参照:平成28年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書

 

パワーハラスメントとは

職場のパワーハラスメント」とは

同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為

と定義されています。

参照:厚生労働省「あかるい職場応援団」

厚生労働省「あかるい職場応援団」においての例示として、

  1. 身体的な攻撃

    叩く、殴る、蹴るなどの暴行を受ける。丸めたポスターで頭を叩く。

  2. 精神的な攻撃

    同僚の目の前で叱責される。 他の職員も宛先に含めてメールで罵倒される。 必要以上に長時間、繰返し執拗に叱る。

  3. 人間関係からの切り離し

    1人だけ別室に席をうつされる。 強制的に自宅待機を命ぜられる。 送別会に出席させない。

  4. 過大な要求

    新人で仕事のやり方もわからないのに他の人の仕事までおしつけられ、同僚は、皆先に帰ってしまった。

  5. 過小な要求

    運転手なのに営業所の草むしりだけを命じられた。 事務職なのに倉庫業務だけを命ぜられた。

  6. 個の侵害

    交際相手について執拗に問われる。妻に対する悪口を言われる。

この6項目が全てではありませんが、主だった項目を揚げています。

 

指導・教育≠パワハラに取り組む

懸命に指導・教育に取り組んだ・・・

それでも、結果として、間違った指導・教育が原因で、作業者からパワハラを受けたと訴えられる。

このような本末転倒を防ぐためには、

その指導・教育の行為が、業務としての範疇なのか改めて精査する必要があります。

それさえ、確認でき業務の範疇であると主張できる自信があれば大丈夫ではないでしょうか。

 

何がパワハラ行為かを認識する

何がパワハラに値するのかわからない・・・

そう思っている職長(リーダー)は多いのではないでしょうか。

分かり易い解釈では、人格を否定することではないでしょうか。

指導・教育が目的ではなく、怒ることが目的となると、人格を否定しがちです。

先のパワハラの代表例6項目を記載しました。

まずは、その6項目を見つめ直します。

それが指導・教育なのか、突発的や感情的に生じた事項なのかを考えることです。

  1. 身体的な攻撃

    暴力行為が指導・教育に本当に必要なのでしょうか。
    このような事態の弁明は、大半の職長は、思わず叩いたと言い訳します。
    それは指導・教育ではなく、カッとなって反射的な行為です。

  2. 精神的な攻撃

    見せしめのように皆の前で罵声を浴びせることが指導・教育なのか。
    人前で叱ることで、作業者が反省し、その悔しさから同じミスを防ごうと考えていませんか。
    それは指導ではなく屈辱を味わいたくないだけです。

  3. 人間関係からの切り離し

    孤独が指導・教育なのでしょうか。
    何も与えず関与しないことは指導・教育とは無関係です。
    無視や隔離には苦痛しか残りません。

  4. 過大な要求

    仕事を押し付けることは指導・教育とは言えません。
    目標値をもった教育は良しとしても、絶対に不可能な過大な要求威圧的なパワハラに値します。

  5. 過小な要求

    作業者の力量を知っているにも関わらず、低く評価することもパワハラ行為です。
    作業者の得意なこと不得意なことを把握し会社に活かすことも職長の重要な責務です。

  6. 個の侵害

    現代社会で頻繁に騒がれている個人情報流出プライバシーの侵害など。
    これらの事項は、パワハラに値するだけでなく他に該当することも考えられます。

心に留める習慣がパワハラを防ぐ

職長(現場のリーダー)だけに限らりません。

上司や先輩など作業を指示することがある人は、発言や行動を間違ったり逸脱すると、パワハラと捉えられる可能性があります。

そのためにも、作業者の行動や成果に関し、少しだけ間をおいて突発的や感情に流されず行動することを心掛けなければなりません。

その一呼吸おく行為により、行き過ぎた行動を防ぐことが可能となります。

 

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