リスクアセスメント 作業環境の整え

リスクアセスメント

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リスクアセスメントとは

職場の潜在的な危険性や有害性を見つけ出し、除去、低減するための手法。*1
*1参照:厚生労働省中央労働災害防止協会 職場のリスクアセスメント

作業現場に潜む危険・有害な状態を見つけ、その危険・有害状況を排除するための手順などのことです。

特に大切な言葉は、【潜在的な】ではないでしょうか。実際に発生した災害に対して対策するのではなく、作業現場に潜んでいる危険・有害を全て汲むことが大切です。危険・有害な状態は一つとは限りません。優先順位を定めることも大切ですし、排除できなくても災害を小さくすることも取り組みの一つです。

 

リスクアセスメント=リスク+アセスメント

【リスクアセスメント】を【リスク】と【アセスメント】に分けて考えました。
それぞれの意味を調べてみると

リスク【risk】
①予測できない危険。 「 -が大きい」
② 損害を受ける可能性。*2
アセスメント【assessment】
評価。査定。開発が環境に及ぼす影響の程度や範囲について、事前に予測・評価することなどにいう。*3

*2*3出典 三省堂/大辞林 第三版

この2つの単語の意味から解釈すると、「危険を評価・査定する。」「損害を受ける可能性を事前に査定する。」と解釈できました。

 

【中央労働災害防止協会】と【厚生労働省】では下記の定義となっています。

 リスクアセスメントとは、危険性又は有害性を特定し、リスクを見積もり、そのリスクを低減するための優先度を設定し、リスクを低減させるための措置を検討し、リスク低減措置を実施することを体系的に進める方法である。*3

*3中央労働災害防止協会 職長の安全衛生テキストより引用

 リスクアセスメントとは、事業場にある危険性や有害性の特定、リスクの見積り、優先度の設定、リスク低減措置の決定の一連の手順を言います。*4

*4厚生労働省 職場のあんぜんサイトより引用

複雑化する作業環境だからリスクアセスメント

現代の作業環境は、多種多様となり複雑化となってきています。一人で複数の異なる作業ができる技術(多能工)を身に付けなけばならない時代です。さらに、多能工を活かし、同時に複数の作業を行う多工程持ちが可能となります。今後は、さらに複雑化となり、更に、それぞれの作業に独自性が生まれます。

従来の労働災害防止対策は、実際に発生した後に災害原因を調べ、事例として再発防止策を考えることが主流でした。しかし、運良く災害が発生していない現場でも、災害が発生する可能性は存在するのです。
その労働災害が発生する潜在的な可能性(リスク)を考え、リスクを軽減する必要があります。病気になってから薬を飲むのではなく、うがいや手洗い、マスクの着用などと同じように、現場の災害防止のためにも、リスクを回避する対策が必要なのです。

無事故でもリスクアセスメント

なぜリスクアセスメントに取り組む必要があるのでしょうか。無事故記録を更新し続けてる会社ほど必要なのかもしれません。
では、「うちの作業現場では過去何年も事故がないから問題ないよ!」と思っている現場リーダーの方にお聞きします。

その作業現場が安全である根拠を現場の作業者に丁寧に説明できますか?

おそらく、大半の現場リーダーは、【無事故】=【安全な現場】 と判断しています。そのため、作業現場が安全である説明できる根拠がないのです。

今の作業現場が過去に事故がないという理由だけでは、安全な現場であると言えず、作業者が第1号被害者にもなりかねません。
作業現場のあらゆるリスクについて精査し、その危険度合を計ることで、取り組むべき対策を決定します。

その隠れた危険性を見つけるためにリスクアセスメントが必要なのです。

 

リスクアセスメントの効果

リスクアセスメントを実行して得られる効果とは何でしょうか?

答えは、労働者を災害から守るです。

危険な作業を見つけることが目的ではなく、作業者にとって危険・有害な状態を見つけることは過程に過ぎません。
労働者を災害から守ることができれば、

  • 仕事が順調に進む。(労働力の確保)
  • 効率化を図ることができる。(適材適所)
  • 安定基盤ができる。(売上・利益の確保)
  • 新たな事業に着手できる。(事業の躍進)

リスクアセスメントを取り組むことで、作業者の安全を確保するだけでなく、事業の安定が生まれ、事業を進めやすくなります。

 

リスクアセスメントの方法

リスクアセスメントを導入する手順として、社長みずからが「やるぞ~!」と号令を掲げ、会社一丸で実行することが必要です。
社長の号令のもと、現場を一番知っている職場のリーダー(職長)が中心となって取り組むことで効果を発揮します。経営者だけでは潜在的なリスクを見つけられず、現場作業者だけでは大胆な対策を図れません。

  1. 危険性や有害性を特定
    (危険性や有害性とは負傷や疾病を生じさせる対象物や行動のことを言います)
  2. 特定された危険性や有害性のリスクの見積もり
    (見積もり方法にはマトリックス法と数値化による方法などがあります)
  3. リスクを低減するための優先度を設定
    (見積もり結果を精査し施術を施す優先順位を定めます)
  4. リスク低減措置の検討
    (どのような施術によりリスクを回避するか検討する)
  5. リスク低減措置の実施
    (取り組みグループや人員、期間を定めて実施する)

*危険性や有害性は「ハザード」と言われることもあります。

 

リスクの見積もり方法

マトリックスを用いた方法

負傷・疾病の重篤度と発生する可能性の度合いをマトリックスで表現します。
マトリックスで表された数値(リスクポイント)により優先度リスクレベル)を定めます。

数値化による方法

負傷・疾病の重篤度の点数化、および負傷・疾病の発生の可能性度合を数値化します。
その数値の合計(足算や掛算)をリスクポイントとし優先度(リスクレベル)を定めます。

 

リスクを低減するための優先度を設定

リスクの低減措置に取り組む前に法令に定められた事項の有無について考えます。
法に触れる措置を施しても危険は回避できません。
まずは、法令に定められた事項を実施すること、その+αとしての低減措置のための優先順位を定め取り組みます。

計画段階の措置

計画の中止や廃止、変更などリスクを低減する措置へと取り組み、危険な作業自体を無くすことに注視します。

工学的な対策

ハザードに近づくことができない対策を考えます。安全装置や局所排気装置などウッカリ近寄ってしまうことが生じない対策を講じます。

管理的対策

安全対策を施すにあたり作業者の意識は非常に重要です。説明書の作成や教育訓練などにより対策します。

個人用保護具の使用

各作業の護身用として対策を施します。各個人での備えなため備えの確認作業は必須となります。

 

リスク低減措置の検討

リスクの見積もりや優先順位が定まれば、そのハザードから回避する方法を検討します。
優先度を念頭においてハザードの抹消が理想的、ハザードに近づけない、意識問題について考えます。
結果、作業者全員の労働災害が発生する可能性が0%となる措置が講じれることが最善なのです。

 

リスク低減措置の実施

すべてが決定すれば実行あるのみ。
リスクアセスメントは理想像ではありません。対策を講じても、実行しなければ労働災害はなくなりません。問題定義することで解決したと満足しているのでは、それまでの議論はムダです。
リスクアセスメントは利益を生まず実務に直結しないため、取り組み難いと考えている会社も多いと思います。
しかし、業務災害による会社の損害は計り知れません。
あらゆるリスクを回避することを念頭に、安定した経営を目指すことが会社の安定につながります。

リスクとは、

危険性又は有害性によって生ずるおそれのある負傷又は疾病の重篤度及び発生する可能性の度合

と定義付けられています。

参考文献:危険性又は有害性等の調査等に関する指針による

出張型職長・安全衛生責任者教育
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