運搬は仕事ではない
作業の始まりはすべて運搬から始まると言っても過言ではありません。
作業場にワークが運ばれなければ作業に取り組むことはできないのです。
しかし、重要な運搬であっても、この運搬を仕事としてとらえてはいけません。
何故なら、運搬の効果ではワークに付加価値を生まず、単なる移動に過ぎないからです。
運搬作業を削減し、時間を短縮することが不可欠です。
ワークが常に付加価値を生じる状況が効率の良い現場と言えます。
時には非効率とも考えられる手で抱えて運ぶ手段を選択することも効率良く運搬する方法の一つなのです。
運搬方法には、「自動車(フォークリフト)で運ぶ」、「クレーンで運ぶ」、「コンベアで運ぶ」、「台車で運ぶ」、「手で抱えて運ぶ」 など様々な方法があります。
常に最善な方法を取り入れ、日々見直す必要があります。
モノが動けば運搬作業
作業場で製品を左から右に受け流す作業、これも運搬作業なのです。
その受け流し作業による運搬や移動には意味があるのでしょうか。
1㎝の移動でも時間と労力が生じれ費用が発生します。
運搬せずに作業が遂行可能にもかかわらず運搬を行えば、その運搬そのものには最初から価値はありません。
それは、左右の運搬に限らず上下動作においても同様なのです。
モノは動力の発生なしで動くことはなく、動力が発生すればモノに付加価値が生まれることが当然です。
では、どうすれば効率良く短時間で移動できるのでしょうか。
重力に逆らわない運搬
重たい製品を下から上へあげることは非常に大変です。
重力に逆らい運搬することは、非効率に更なる不可効率を与える状況となっています。
その非効率を防ぐにはどのような手段があるでしょうか。
ワークは上から下に移動する。
その移動だけで成し得なければ、上への移動を避け、横移動のみで運搬を可能にする。
重力に逆らわない運搬が同じ距離を運搬するにおいても効率的です。
例えば保管場所の高さと台車の高さを合わせる。
台車に載せて保管する。
保管するときに、その後の移動のことも考えてことが必要です。
運搬時間の要素に注意
運搬時間に要する時間は、運搬する製品のことを考えた時から始まっています。
荷積みや荷卸しの時間も運搬時間です。
そのため、自動車と人力で運搬のための要素が異なります。
運搬のために要した段取り時間も運搬時間であると考えなければなりません。
運搬時間の要素とは実際にワークを動かす時間ではなく運搬のために要した時間全てを言います。
運搬に伴う時間全体を見て効率を判断することです。
容積×重量×距離により選ぶ
当然ながら軽くものを1つだけ10m運ぶのは「手持ち」作業で可能です。
しかし、この製品が100個あればどうでしょうか。
台車に積載することができれば1度で済みます。
運搬方法は様々な手段があります。
どの手段を選択することも作業者の自由ではありますが、その選択により作業効率は大きく変化します。
数量や頻度により運搬方法を常に見直さなければなりません。
運搬方法はモノの容積×重量×距離の計算を主体とし、頻度などを考慮し計算することが必要です。
完成品or組み立て品
製品を運搬するときには、製品がどの状態で運搬するのかを定めることも重要です。
製品は必ずしも完成品で運搬しなければならない法則はありません。
プラモデルのようにパーツでは小さな箱で収まるが、組み立てれば大きい製品となるようなモノは最終工程や工場までは極力組み立てを行わずに運搬することが最良ではないでしょうか。
完成品は比較的、製品の中が空洞であることが多く、空気を運搬することになり非常に非効率です。
組み立てる工程の順序が違うだけで大きくコストに影響を及ぼします。
製造業では製品を加工するタイミングだけでなく組み立てるタイミングもコストダウンの大きな要因です。
運搬頻度を計算する
1か月に1個しか使用しない製品を100個まとめて運搬することはどのように考えることが最善でしょうか。
1度に済むとはいえ、その99個の移動は不要な移動であり、移動先の作業場では余分なスペースを要します。
効率を考えることも必要ですが、不要な労力を使わないことは不可欠です。
単に「製品を動かす」と安易に考えるのではなく、運搬するタイミングなどを十分に精査して、判断しなければなりません。
運搬に費やす時間はコストダウンを図る重要な要素です。
運搬する目的は何でしょうか。
運搬だけではモノに付加価値を生みません。
付加価値のある行動を考えることが必要です。
最終的には運搬を「0」とすることです。
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