適正配置の重要性
作業者の適正な配置は職長にとって大変重要な職務です。
適正に配置するには作業者一人一人の特性を熟知する必要があります。
勿論、作業者の労働能力や知識を熟知しているのは職長であり、適正配置ができるのは職長しかいません。
適正配置では、職務内容と作業者の能力を照らし合わせて、効率の良い配置を考えます。
適正配置を行うことで停滞のムダ(ボトルネック)をなくす効果だけでなく、仕事が円滑に遂行されることから生まれる現場の活気づくりにも役立ちます。
単能工作業ではなく、多能工が当然となっている現代の働き方が、さらなる作業の複雑化を進展させ、職長は常に作業者の特性などを十分に把握することに務めなければなりません。
作業及び作業者の特性把握
適正な配置には、「作業の特性把握」×「作業者の特性把握」が必要となります。
この2つのどちらが欠けても適正配置は不可能となります。
作業の特性把握では
①資格必要性の有無
②定常作業か非定常作業の分類
③単純作業なのか複雑作業か
④納期は何時なのか
⑤単独作業か共同作業なのか
⑥重労働作業か精密作業か
⑥作業環境及び作業姿勢はどうか
などの項目から更に枝葉が分かれ、その作業の特性を把握することができます。
作業者の特性把握では
職長は常に作業者の特性を把握しなければなりません。
①単純作業を長時間行うことを得意とする
②常に変化のある作業に適している
③考える前に動くタイプかじっくりと考えてから行動するか
④体力はどの程度あるのか、また、集中力はあるか
⑤周りの動きを把握するタイプなのか、集中型なのか
そして、「その時の体調や精神状態はどうか」なのです。
人は機械と異なり精神面から生じる悩み、肉体面からの疲れなどにより、刻々と状況は変化します。
作業者により、外部から新しいスキルを得る人、今の能力に磨きをかける人など性格により変化する方向性も異なり、職長の見えないところで日々自ずから変化させています。
職長は常に作業者と交流することで、その時の状態を把握しなければなりません。
さらには、作業者は、必ずしもスキルや体調を自ら報告するとは限りません。
適正配置の取り組み方
適正配置には多数の眼を持って取り組まなければなりません。
基本的には常に3つの眼を常に働かせて現場を観察し、適正な配置を作り出さなければなりません。
「鳥の眼」で全体を俯瞰する
「木を見て森を見ず」の諺にもあるように、作業や作業者の一部分や細部に気を取られて、現場全体を見失っていては現場を統率することはできず、作業者間の連携を得ることはできません。
全体を俯瞰する「鳥の眼」を用いて現場全体を考えなければ現場全体を把握することに務めなければなりません。
「魚の眼」で流れを見る
作業現場では常に様々な流れがあります。
職長は、作業者の動き(流れ)や資材の動き(流れ)などを常に意識しなければなりません。
流れは常に緩やかでなければならず、決して急流であってはなりません。
激流の状態はミスを生じさせ、重大な事故や災害を起こす要因となります。
「虫の眼」により作業者を診る
作業者の性格、心理状況、体調管理などの細部において「虫の眼」により診なければなりません。
現場の全体だけ見ることは常に現場にいる職長でなく、他の管理者でも可能です。
しかし、作業者や作業現場の状況を常に見ている職長だからできることは「虫の眼」を持って現場の細かな変化を見つけることです。
視覚で見て嗅覚で変化を捉える
ホワイトボードや模造紙をベースとし、機械や作業者、備品などを付箋紙に記載していきます。
付箋を使うことで、現場の配置を常に変化させたレイアウトを視覚で捉えることができ、さらには作業内容や作業者の特性を付箋の色や形状を変えることで
機械化や自動化が進み、重量物の移動を人力で行うことが減ったために配置方法が多様となった現代では常に適正な配置に変化が生じます。
作成した適正配置ボードは作業者が常に確認できるように掲げて、職長を中心し、常に改善を行うことを心掛けなければなりません。
適正な配置作りを考えるときには作業者のスキルの伸びに活かすなど経験させることを考えてしまいがちです。
勿論、そのような配置により作業者のスキルがあがっていくことは十分に考えられることなのです。
しかし、作業者の意思とは異なった職長の期待配置により作業者の意欲低下も考えられます。
職長が常に現場を知る現場キーパーソンでなければなりません。
作業現場の相談役
現場実践型-業務改善コンサルタント
エスエムシーコンサルティング SMCCONSULTING 職長教育事業