指導・教育の目的は何か
職長は何故、現場の指導や教育を行わなければならないのでしょうか。
職長自らが現場で教育指導を行う意図を理解していなければ、教育指導に費やす時間はムダとなってしまいます。
職長は現場の責任者として現場作業に精通していることから、職長自らが作業を遂行することが手っ取り早いと思い、部下に任せず自らが作業を遂行することで多忙となり、結果として事故を招くなどの災害が発生します。
さらに、災害などにより職長が不在となっても、部下が業務を遂行できる能力がないため現場はストップしてしまいます。
頼もしい部下を育てることは職長にとって重要な職務であり、指導・教育は職長にとって不可欠な職務なのです。
指導・教育の必要性を把握する
指導や教育はどのような時に必要とされるのでしょうか。
勿論、常に教育指導を行うことは必要であり、職長は常に現場を精査しているため、作業者に対し常に物申したい衝動に駆られることもあります。
しかし、緊急時以外は定期的な教育指導を図ることを心掛けましょう。
やみくもに思いつきで教育指導を行っていては非効率であり作業の遂行の妨げとなります。
作業者は、初めて就く職務に対して、少なからず多少の不安は抱いています。
職長が作業者へ「見よう見真似」で行うことを指示したり、黙認するなどを行っていたのでは作業手順にバラつきが生じます。
また、作業手順や作業内容について確認しなければならないことは随所に発生します。
配置転換や新規作業者に対する指導・教育
初めての作業であれば作業を知らないのが当たり前です。
専門用語で説明するのではなく、相手のレベルに合わせて具体的に教育することが必要です。
一度で理解してもらえると思わないことです。
職長が当たり前のことでも初心者には初めてだらけなのです。
作業方法や人員の増減、レイアウト変更に対する指導・教育
新しい設備が導入されたり、レイアウトが変更されたときは現場全員で作業内容について見直す必要があります。
現場に変化が生じるが作業方法が全く変わらないことはありません。
作業方法が変わらないのであれば設備を導入したりレイアウトを変更する意味がありません。
災害や事故が発生した場合に対する指導・教育
事故や災害が発生した場合は原因を究明します。
究明した結果として何故そのような行動に至ったのかが重要となります。
作業手順を知らなかったのであれば作業手順書により教育することで可能であり、能力不足なのであれば技能訓練により遂行することが可能となります。
しかし、どのような要因であっても、職長は知識不足・技能不足・怠慢であってもリスクアセスメントを実行し災害を起こすことができない現場にしなければなりません。
指導・教育の具体的な進め方
動機を共有する
職長は教育指導の方法を不変事項と捉えていては作業者へ浸透することはできません。
教育指導を行う動機を作業者へ明確にすることが必要となります。
作業者に作業を習得してほしいのか、作業を変更してほしいのか、何故、このタイミングで教育指導を行うのかを作業者に理解させることで場を共有することが可能となります。
作業者のレベルを考える
職長は現場の作業を誰よりも把握していますが、教育指導対象である作業者のレベルに合わせて教育指導しなければ無意味となります。
教育指導は常に受ける側のレベルを十分に考慮した内容とし、進捗速度も作業者に合っているか意識する必要があります。
現場の全体に対する作業の在り方
現場の全体像から説明することをお勧めします。
細かな部分や注意点などから指導しても、作業者は流れが分からないままの記憶となり、結果として現場のボトルネックを発生させる要因となる可能性が生じます。
現場全体に対する作業者の作業の在り方について理解させることが教育指導を深く理解させるコツとなります。
具体的に説明する
現場での作業について説明するときには、態々、会議室でテキストのみを使用して教育指導するのではなく、現場で現物を使用し具体的に指導することに拘るべきです。
新しいことを学ぶ人にとって、抽象的に説明されることほど理解し難いことはありません。
遂行してほしい作業内容が決まっているのであれば、具体的に順序立てて説明することが必要です。
教育指導は作業者が理解できなければ意味がありません。
職長の五感全てを駆使し作業者の五感に届かせ、作業者が理解できるまで行わなければなりません。
作業現場の相談役
現場実践型-業務改善コンサルタント
エスエムシーコンサルティング SMCCONSULTING 職長教育事業